58キロで強い勝ち方チュウワ 59キロで負けて強しのオメガ

佐藤直文 レース回顧
平安S

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豪快な直線一気で チュウワウィザード

 序盤こそ前がハナを争う流れだったが、2コーナーを回って隊列が定まってからは流れも落ち着き、1000m通過も推定62秒0と、けっして速いペースではなかった。ただ、それでもレースの上がりが37秒4で、後方待機組が上位3着までを占めた結果を考えると、前の組には厳しい流れだったと言えるだろう。

 チュウワウィザードは、テンの流れが速く付いて行けなかったことで、今までにない中団以降からの競馬。ただ、ポジションが悪くなっても、慌てず焦らず、自分のリズムで運んだことが結果的には良かったのだろう。勝負どころで動いた馬もやり過ごし、直線を向いてから満を持して追い出されると、外から並びかけてきた2着と併せる形で、一気に前を捉えて見せた。58キロを背負ってこれだけの脚を使い、しかも今までにない自在性を見せたことも大きな収穫で、待望のGIタイトル獲得へ、見通しも明るくなったと言えるだろう。

チュウワウィザード

2着馬とともに伸びたチュウワウィザード(青帽)がV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着モズアトラクションは、道中で無駄に脚を使うことなく、4コーナーでも後方2番手という位置取りだったが、これはいわゆる“決め打ち”の競馬だったか。直線を向いて大外から勝ち馬に並びかけ、一旦は前に出るシーンもあったほどで、勝ちに等しいハナ差負け。3走前の準オープン勝ちも同じ舞台で同じ競馬だったものであり、この条件ではフルに力を発揮できる馬なのだろう。

 3着オメガパフュームは、道中はジックリと後方で構え、3コーナー過ぎの勝負どころから外を回って勝ちに動く形。残り1ハロンを過ぎてから抜け出す、勝ちパターンの競馬であったが、さらに外から出し抜けを喰らっては抵抗できなかったのも無理はない。ただ、メンバー唯一のGI馬で59キロの斤量を背負っていたことを考えれば、文字通り負けて強しの内容だった。

 4着アナザートゥルースは、道中は中団のインでロスなく運び、勝負どころから直線を向くあたりでも巧く前を捌いて、これまた勝ちに行く競馬。ここ2戦よりも相手のレベルが上がった中で、地力強化を示す内容だった。

 5着サンライズソアは、終始プレッシャーを受けながらの逃げはけっして楽ではなかったが、直線でもけっして止まったわけではなく、結果も展開のアヤと言えるもの。これまた力は十分に示している。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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