「代打フルキチ」で人気落ちもなんの “驚異的な馬場”で満点騎乗

佐藤直文 レース回顧
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充実一途ケイデンスコールを勝利へ導く大仕事

 良馬場であれば依然として高速状態の阪神芝。決着タイムの1分31秒4は、2週前の桜花賞でソダシが叩き出した驚異的レコードにこそ及ばなかったものの、それまでのレコードよりもコンマ5秒速く、開催の進んだ馬場としてはこれまた驚異的と言えただろう。

 ケイデンスコールは、岩田康騎手の騎乗停止により、古川吉騎手へ急遽の乗り替わり。ここ2戦が脚質を転換させての好走で、鞍上が手の内に入れたと言える状況だっただけに、人気を分けると見られていたエアロロノアに少し水を開けられての2番人気となったのも、そのためだったろう。そのここ2戦と比べると、位置取りは後ろであったが、ペースが流れたせいもあるが、それだけ先入観なく乗られた証拠であり、持ち味を最大限に引き出した満点騎乗だった。そもそも5歳を迎えて充実を示したロードカナロア産駒は信頼でき、この先の大舞台でも期待できるはずだ。

ケイデンスコール

2番人気ケイデンスコールが重賞3勝目のゴール

 2着アルジャンナは、勝ち馬よりも後ろのポジションから直線で進路を探しながら脚を伸ばしたもの。順調に使い込めない弱みはあるものの、体調さえ伴えば1600mか1800mの重賞なら楽に手が届きそうだ。

 3着カイザーミノルは、好位で流れに乗って前の組には厳しい流れだったにもかかわらず渋太く粘り込んだ形。前走はオーシャンSに出走したが、レース後に鞍上の横山典騎手が『1200mの馬ではない』と話していたとのこと。年明けから着用しているブリンカーの効果も十分にあり、全くフロック視できない好走だった。

 4着ダイワキャグニーは、近走が一息続きで、しかも右回りの実績に乏しかったが、最後まで2着争いに加わる大善戦。得意の東京に戻れば目が離せないだろう。

 5着エアロロノアは、道中は勝ち馬をマークする形で運び、4コーナーで大外へ。それなりに脚は使ったが、道中のペースも含めてここまでの時計勝負は初体験だったものであり、まだこれからの馬であろう。

 エアスピネルも、久々の芝使いでこの高速決着では厳しかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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