後藤浩輝がダービーで乗るはずだった馬 ヴェラヴァルスター

Road to Derby 2015

ダービーはこの馬で 彼との共通認識

 ヴェラヴァルスターへの取材をするにあたって、必ず“彼”の名前が出てくる。

 木村師は、前走後に『皐月賞は考えていないから放牧に出す。次はダービートライアルになるけど』と、彼に伝えたところ、二つ返事で『もちろん乗ります』と答えたという。

 『彼の中でも今年のダービーはこの馬で、という意識があったはず。間違いなく気持ちを共有できていたと思います』と、師は無念を滲ませながら語る。

カメラに興味津々で鼻面を寄せるヴェラヴァルスター

カメラに興味津々で鼻面を寄せるヴェラヴァルスター

 その復帰戦は、5月2日の青葉賞(GII・東京芝2400m)に決まった。強力なライバルも揃う中で、ダービーへの切符は僅か2枚という狭き門である。

 競馬をただのギャンブルと捉えるなら馬鹿げた話だが、競馬にロマンを求めるなら、是非とも狭き門を突破してほしいと思わずにいられない。そして、乗るはずだった彼に『ジョッキーとしてやり残していたことがあっただろう』と。

 5月31日午後3時40分のゲートに、もしも、ヴェラヴァルスターが入っていたなら、天国から見守る彼、後藤浩輝は何を思うだろうか。