千四スペシャリストで決着 9着ソリストサンダーは「無理と言える競馬」

佐藤直文 レース回顧
根岸S

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課題はあと1ハロン テイエムサウスダンが冬のダート王争いに名乗り

 ダッシュ良くハナを奪ったジャスティンに対し、競りかけて行く馬もいなかったことで、前半3ハロンは34秒4というこのレースとしてはけっして速くはないペース。レースの上がり自体も36秒台だったのであれば、ある程度のポジションで運べた馬に有利な流れだったか。

 テイエムサウスダンは、先行グループと後方集団のちょうど真ん中あたりのポジションで、意外と揉まれることもなくスムーズな追走。位置的にも今日の流れでは一番良かったと言えたが、直線でも前を捉え、後続の追撃も凌ぎ切っての堂々たる勝ちっぷりだった。ただ、これで全9勝中8勝までがこの距離という1400mのスペシャリストであり、本番ではあと1ハロンをどう克服するかが鍵となるだろう。

テイエムサウスダン

1400mの交流重賞で4勝をあげているテイエムサウスダンが、中央でもタイトルを獲得

 2着ヘリオスは、好位のインでこれまた絶好のポジション。最後まで勝ち馬に渋太く食い下がっていたが、こういう競馬ができたことは大きな収穫だったか。ただ、この馬もまた実績が示す通り1400mがベストだ。

 3着タガノビューティーは、スタート直後に寄られる不利があったとはいえ、後方から運ぶのはプラン通りだったか。自分の競馬に徹して、最後は確実に脚を伸ばした結果の3着は仕方ないと思える。

 4着ジャスティンは、冒頭でも記したように道中で楽な逃げを打てたことで、この距離でも存分に力を出し切れた。

 5着オメガレインボーは、1200m戦を使ったあとの1400mというのは少し難しかったとも言えるが、重賞では少し足りないというイメージも受けた。

 ソリストサンダーは、直線を向いて右へ左へと進路を探しつつだったが、前が開いてからも伸びは一息で、1400m戦では無理と言える競馬だった。本番では当然巻き返してくるであろうが、今日のところはビジョンのない競馬だったように思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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