【ホープフルS回顧】完勝クロワデュノールは「来春の主役」確定か 瞬発力だけじゃない、タイムから明らかになった能力

佐藤直文 レース回顧
ホープフルS

王道を突き進んでの完勝劇 クロワデュノールが無傷で春へ

 最初のコーナーを回って隊列が決まってからペースがガクンと落ち、前半1000m通過ラップは61秒4のスローペース。しかし、後半1000m59秒1というのは、GI昇格後で最速の数字であり、特にラスト4ハロンのラップが全て11秒台という、スピードの持続力が問われるレースとなった。そんな流れの中で、勝負どころから抜群の手応えで進出した勝ち馬は、3番手で4コーナーを回った時点ですでに勝負あった、の感も受けた。

 そのクロワデュノール。スタートを決めて序盤こそ力むシーンもあったが、向正面からはピタリと折り合いも付いて、鞍上の意のままに進出することができた。揉まれるのを避けて馬群の外を回る形だったが、少々のロスがあっても自分のリズムを優先した立ち回りであり、能力を信じた鞍上の好騎乗でもあった。直線で楽に突き抜けてペースを考えると圧勝とも言える2馬身差。マイナス8キロでスッキリと見せた馬体から、やはり前走は7~8分程度のデキだったかと思えるが、手前の替え方などセンスの良さも示しての快勝で、来春が楽しみでしかない。

クロワデュノール

1.8倍の支持を受けたクロワデュノールが一つ目のビッグタイトルを獲得

 2着ジョバンニは、最内枠を十分に生かしたロスのない立ち回りで、直線でも巧く捌くことができたが、勝ち馬が一枚上だった。

 3着ファウストラーゼンは、後方から向正面で一気に動いて先頭に立ち、直線でも二枚腰を使って粘った形。ブリンカーの効果もあったかと思える。

 4着ジュタは、勝負どころから勝ち馬の後を追うように進出し、最後まで渋太く脚を使っていた。キャリアや枠順を考えても、かなりの素質を示す内容だったか。

 マスカレードボールは、大外枠からペースを考えても厳しい位置取りになってしまったが、状態自体も整えることができなかった印象。マジックサンズは、終始掛かり気味での追走となり、一気にペースが上がった勝負どころで反応できなかった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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