出負けも慌てず騒がず 最上級のエスコートでクイーンズリングが戴冠

佐藤直文 レース回顧
エリザベス女王杯

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遂に射止めた女王の座 パーフェクト騎乗でクイーンズリング

 前半1000m通過が61秒8のスローペースは、戦前から予想されていた通りであり、有力どころのジョッキーもそれを見越して、ある程度のポジションを取りに行った形。序盤でマリアライトらが受けた不利も、そういったジョッキー心理が働いた上でのアクシデントだったように思えた。

 クイーンズリングは、内枠から出負け気味のスタートだったが、デムーロ騎手は慌てず騒がずのイン追走で、ロスなく運んで直線へ。最後も馬の間を割る勝負根性を見せ、瞬発力勝負を上がり33秒2のキレ味で制した形だ。距離不安も囁かれていた馬だが、持久力が要求される競馬ではなく、完全にスローの上がり勝負となったことで克服できたと言えるが、最高の立ち回りで持ち味を引き出した鞍上の騎乗ぶりは、今さらながらさすがであった。

クイーンズリング

上がり3F33秒2のキレ味を発揮したクイーンズリングが優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着シングウィズジョイは、先行して流れに乗って、一旦は完全に抜け出しながらのクビ差惜敗。瞬発力が要求される馬場でこんな競馬ができるとは、ちょっと驚かされた激走ではあったが、流れも味方に付けてこれまた最高の立ち回りであったことは確かだ。デムーロ&ルメールでの万馬券決着は、見ようによっては簡単な馬券のはずだったが…。

 3着ミッキークイーンは、今日の流れを考えればこの上ないポジションで、これまた最高の立ち回りができたように思える。ただ、緩めだった中間の調整過程が示す通り、スパッとキレなかったのは久々の分だろう。叩いて、次は本来の姿を取り戻してくるはずだ。

 4着パールコードは、道中は2着馬と同じ位置取りだったことを考えれば、展開を味方に流れ込んだだけとも言えそうで、古馬相手には力の差を感じさせられる一戦だったか。

 5着プリメラアスールは、注文通りにハナに立って絶妙のペース配分。最後までバテることなく踏ん張っており、自己条件に戻ればアッサリのレベルだろう。

 マリアライトは、前述した序盤での不利が響いた形だが、それでも道中は勝ち馬と同じあたりの位置取りだったものであり、速い上がりの決着に対応できなかったと見るべき。不利がなくても勝ち負けまでは厳しかったか。タッチングスピーチは、人気どころでは最もポジジョンが後ろ。届く展開ではなかったが、久々も応えたろうか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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