昨年以上に強くなったアルバートが連覇達成 次はGIへ

佐藤直文 レース回顧
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乱ペースを制した底力 アルバートが王座防衛

 例年なら序盤で隊列が決まると勝負どころまで坦々と、という流れになるが、今年は違っていた。2週目の1コーナーから最後方待機のサイモントルナーレが一気に動いて先頭に立つと、あとは入れ代わり立ち代わりの激しい流れに。その攻防も含めて見応えのあるレースとなった。

 ジャパンカップや香港遠征も視野に入っていたアルバートにとって、ここは名を捨てて実を取りにきた負けられない一戦だったと言えるが、連覇達成でも5馬身差圧勝の昨年とは違って、クビ差の辛勝。ただ、今日のような厳しい流れで勝ち切ったのは底力の証明であり、昨年より1キロ重い斤量を背負っていたことを考えても、昨年以上に強くなっていると見ていいだろう。今年は6着止まりだった春の天皇賞でも、来年は着順を上げられそうだ。

アルバート

断然人気に応えて連覇を成し遂げたアルバート(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ファタモルガーナは、この上ないドンピシャのタイミングで仕掛けられて一旦は完全に抜け出したもの。このところ精彩を欠く印象も受けていた蛯名騎手だが、ジョッキーにとっても腕試しとなるマラソンレースで、文句なしの最高の騎乗ぶりだった。これで3度目の2着と、馬自身もこのコースへの適性を改めて示した形だが、8歳馬とはいえセン馬ならまだまだ衰えないはずであり、来年もこの舞台に出走してくるなら、無条件で狙う手だろう。

 3着モンドインテロは、最後はよく伸びていたが、4角でもう少し前のポジションが欲しかったところ。右回りの方がスムーズな馬ではあるが、それでもコーナーがキツいコースでは置かれてしまうのがウィークポイントだ。同じ中山でも外回りの2200mあたりなら、パフォーマンスも上げられるはず。

 4着プレストウィックは、4角で大外を回って進出し、直線でも一瞬は見せ場を作った。最後は力の差と言えるが、長丁場の適性は示したと言える。

 5着タマモベストプレイは、けっして楽な流れではなかったし、早目に先頭に立つ形で目標となってしまっては、最後に力尽きたのも仕方ない。

 ジャングルクルーズは、テンに行きたがる面を見せるなど、3000m超のレースの経験のなさが出てしまったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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