アドマイヤムーン産駒らしい一瞬の脚 ムーンクエイクが勇躍安田記念へ

佐藤直文 レース回顧
京王杯スプリングカップ

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マイル戦線に新星ならぬ新“月”誕生 ムーンクエイク

 先週の東京は中間にかなりの降雨があり、いくらBコースへ替わると言っても、少し時計のかかる馬場になるのではとの推測もあった。ところが、この日は2000mの3歳500万特別で1分58秒8、2400mの古馬準オープンで2分22秒9という驚異的な時計が出た上に、淀みないペースになったのであれば、レコード決着も当然だったか。

 ムーンクエイクは、この馬にしてはいつもより後ろとなる中団で運んだが、タイトな流れになったこともあり直線でスムーズに馬場の外目に持ち出せた。展開も向いたとはいえ、坂を上がってからアドマイヤムーン産駒らしい一瞬の脚を使わせたルメール騎手の腕も光ったと言える。まだ5歳で、セン馬だけに息の長い活躍も期待できる馬。本番でも今日のようにスムーズに折り合えて、一瞬の脚が生きる流れになれば、チャンスはある。

ムーンクエイク

わずかに前に出たムーンクエイク(赤帽)がレコードV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着キャンベルジュニアは、外枠でも鞍上がロスなく立ち回って、直線では一旦抜け出す形。後続の目標となって差されたはしたが勝ちに等しい内容だった。昨年は重馬場で惨敗したレースだったが、良馬場ならこれくらい走って当然の馬だろう。

 3着サトノアレスは、今日の速い流れで後方待機となるのは仕方なかったが、前走の東京新聞杯のようにインがポッカリ開くことはそうそうないことで、内から外へ持ち出すロスの分だけ届かなかった。ただ、1400mはやはり距離不足の馬であり、本番へは視界良好の一戦となったはずだ。

 4着グレーターロンドンは、自分の競馬に徹して直線で際立つ伸びを見せたが、この馬も1400mでは距離不足だろう。賞金的に安田記念への出走は厳しくなったが、今日の脚自体は復調を思わせるものだった。

 5着ラインスピリットは、今日の速い流れを2番手で運んでの掲示板確保は立派の一言。距離やコースにメドを立てたという点でも収穫の大きい一戦だった。

 ダンスディレクターは、道中は勝ち馬の直後の位置取りで、展開的にはドンピシャだったはずだが、直線で全く反応せず。前走などからも年齢的な衰えは全く見られなかっただけに、これはちょっとわからない負け方だ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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