成長示したプリモシーン 潜在能力は二冠牝馬と比べても遜色なし

佐藤直文 レース回顧
関屋記念

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とにかくいい勝ち方 プリモシーン

 新潟コースが左回りに改装された2001年から昨年までの間で、3歳馬は〔0・0・2・11〕という実績。長い直線での攻防で、古馬とは底力の差が出るようにも見えるデータだが、精査してみると、世代のトップレベルの馬たちが出走していないことも事実であった。本来は斤量面でのアドバンテージがある3歳馬で、それなりのレベルの馬が出走してきたのであれば、1番人気の支持を受けたのも、それに応える走りを見せたのも、至極当然だったと言える。

 そのプリモシーン。課題のスタートを決めて、前半3ハロン34秒2、5ハロン57秒2秒のハイペースでも中団でスムーズに流れに乗れていた。直線では、残り1ハロンで一瞬内にモタれるシーンがあったが、そこからエンジンのギアを上げて一気に抜け出したもの。精神面のみならず、プラス10キロの馬体もまた成長が感じられ、とにかくいい勝ち方ができたように思う。潜在能力自体は、世代の牝馬で突出した存在の二冠馬アーモンドアイと比べても遜色はない馬であり、いずれはマイルGIでも勝負になるはずだ。

プリモシーン

一番人気に応えて重賞2勝目をあげたプリモシーン(橙帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ワントゥワンは、後方でジックリと脚を溜めて運ぶ形は前走の中京記念と同じであったが、内をついて捌き切れなかった反省もふまえてか、今回は大外に進路を選択。上がりは最速の32秒8で完全にハマったかに見えたが、これで届かないのも仕方はなく、持ち味は生かし切ったと言える。

 3着エイシンティンクルは、前述したハイラップの逃げで、追いかけた先行勢が軒並み失速したことを考えても、相当な価値のある3着だ。さすがは快速で鳴らしたエイシンヒカリの全妹であり、これは完全本格化と見ていい。

 4着ヤングマンパワーは、好位の外目を追走して、直線では3着馬を追って一旦は抜け出すかのシーンもあった。このレースでは過去3年で3・1・4着というコース巧者ぶりを如何なく発揮できたように思う。

 5着ロードクエストは、短距離戦を使われてきたことで、今日の流れでも前目のポジションで競馬ができた。直線でも勝ち馬に寄られて窮屈になるシーンがありながら、最後まで脚を使えており、一時の低迷からは脱出したと言えるだろう。

 リライアブルエースは、勝ち馬を見る形で運んでいたが、追われてジリジリ。もう少し上がりがかかる競馬の方がいいタイプだろう。フロンティアは、内枠もあってか出して行ったが、直線を向いてアッサリと脱落。ペースもあったが、自身も二走ボケだった感を受ける。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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