不安な話が聞こえてこないアドマイヤマーズ「ハナを切っても」

無傷の２歳王者アドマイヤマーズに　死角はあるか？

デスク「もともとフルゲートにはならない性格の重賞とはいえ、このレースで７頭立てという少頭数はちょっと記憶にないな。まぁ、無傷の２歳王者が出走してくるわけだから、例年よりもレベルが低いわけではないんだが…」

武井「そのアドマイヤマーズの中心は動かないでしょうね。中京２歳Ｓが中位からの抜け出しで、デイリー杯２歳Ｓが逃げ切り、そして朝日杯ＦＳでは好位からロングスパートで抜け出す形と、鞍上の意のままに動けてどんな競馬もできることは大きな強味です。その前走でも相手の揃ったＧIの大舞台で、流れが速くなったことでパフォーマンスのレベルも飛躍的に上げたものですし、まだ伸びしろも十分にあるはずです。この少頭数で極端なスローになってしまうと、キレ負けするおそれもありますが、そこは手の内に入れている鞍上が上手くカバーしてくれるでしょう」

大江原「そもそも地力が問われる東京１８００ｍで、しかもこの頭数なら、紛れは考えにくいよ。文句なしの内容で連勝を続けるこの馬に逆らう手はないぞ」

佐藤直「とにかく現時点での完成度で、アドマイヤマーズが群を抜く存在であることに疑いの余地はないからな。この中間も長目からの調教をしっかりとこなしているから、距離延長も不問と見ていいだろう」

デスク「武井が危惧している瞬発力勝負もそうだが、距離もコースも関東への長距離輸送も初めてというのは少し気になるところだが」

広田「陣営によると“この頭数だけに行く馬がいなければハナを切っても構わない”というスタンスで“道中の位置取りよりも、いかにこの馬のペースでリズム良く運べるかに尽きる”とのこと。“どっしりしていてあまり環境の変化にも動じないタイプだから、初コースも長距離輸送も心配はない。距離ももちろん守備範囲”と、陣営から不安な話は聞こえてきませんでしたね。約１ヶ月という短期間の放牧でも成長が窺えますし、無敗のままクラシックへ駒を進める可能性は高いと思いますよ」

無敗の２歳王者はやはり逆らえない存在か（撮影：日刊ゲンダイ）

デスク「それに次ぐ実績の持ち主は、京都２歳Ｓ勝ちのクラージュゲリエとなるわけだが、意外にも◎を打ったのは守屋だけなのか」

守屋「デビューから３戦、全て上がり３Ｆが出走馬ナンバーワンなら、東京の長い直線はいかにも合いそうですね。２戦目までは３～４コーナーで大外をブン回しましたが、前走は４コーナーから直線でも馬群の真ん中を突っ切るように割って伸びてきたように、一戦ごとの成長も確かに見えます。今回は左回りが初となりますが、学習能力の高さからアッサリ克服してもまったく不思議ないですし、人気のアドマイヤマーズや２戦２勝のダノンキングリーが初距離となるのに対し、クラージュゲリエは距離も経験済みですからね。このアドバンテージを加味すると◎という結論に落ち着きました」

那谷「２戦目でミルコを手こずらせたようにテンションが高く、頭を上げ下げしたり、どちらかと言うと乗り難しいタイプなんだけど、前走は厩舎装鞍やメンコを二重にする工夫で直前輸送でも落ち着いていたようなんだ。その前走で騎乗したモレイラ騎手も“クラシックでもチャンスがある”と、ポテンシャルの高さを口にしていたくらいだし、ダービーを見据えての長距離輸送や左回りへの課題についても“楽観はしていないけど、しっかり折り合って馬の力が引き出されれば差し切れる”と、アドマイヤマーズが相手でもヒケを取らない感触を池江寿師も掴んでいる様子だったよ」