シルバーコレクターの汚名返上 フロンテアクイーンに遅すぎた春到来

佐藤直文 レース回顧
中山牝馬S

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三浦Jも好騎乗で700勝 フロンテアクイーン

 例年だと小回りコース特有の締まったラップにならずに坦々とした流れになることが多く、カワキタエンカが逃げ切った昨年にしても前半1000mは61秒3のスローペースだった。対して今回、同じカワキタが刻んだ1000m通過ラップは59秒8。馬場差を考慮しても淀みない流れで、先行勢には少し厳しかったか。

 フロンテアクイーンは、中団後ろ目のポジションで近走と比べると控えた形だったが、それでも前を視野に入れながら流れに乗り、勝負どころから抜群の反応で進出して4コーナーでは射程圏に。坂を上がってから先頭に躍り出て2着馬の強襲をハナ差凌いだところがゴールだった。これまで重賞では5度の2着に泣いてきたこの馬にとって、大きなハナ差での重賞初制覇となったわけだが、マイルでは忙しく2000mは少し長い馬にとっては、ここが最大のチャンスでもあったか。自身節目の700勝というオマケも付けた三浦騎手も、テン乗りながら実に落ち着いた好騎乗だった。

フロンテアクイーン

6歳のフロンテアクイーン(黄帽)が重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ウラヌスチャームは、道中では後方2番手で脚を溜める形だったが、直線ではスムーズに馬群を割って勝ち馬を追い詰めた。前走の愛知杯は不利があっての4着だったものであり、これくらい走って当然とも言えたが、距離は2000mくらいがベストではないかと思える。

 3着アッフィラートは、格上挑戦ながら51キロの軽ハンデを生かしてコース巧者ぶりを如何なく発揮したもの。クラブ規定により、これがラストランとなるのは残念だが、今日の激走もけっしてフロックではなかったろう。

 4着デンコウアンジュは、直線で大外から見せ場十分の内容で、まだまだ衰えがないことを示した。近走はマイル戦を使われていたが、今ならこの距離の方がいいとも思える。

 5着フローレスマジックは、勝ち馬よりも一列前のポジションで運び、4コーナーを回ってから一旦は完全に抜け出す形。結果的には後続の目標となってしまったが、課題のスタートさえ決まれば重賞でも勝ち負けになるだけの力は示したと言える。

 ノームコアは、勝負どころで動くに動けないポジションだったことも敗因の一つではあるが、1800mは距離不足の感を受けた。ミッキーチャームは、初めてとなる関東への長距離輸送も応えたか、イレ込み気味で力を出し切れていないと見るべき。メンタル面での立て直しが必要だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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