来年まで覚えておきたい、マーチS波乱決着の理由

佐藤直文 レース回顧
マーチS

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6歳にして9戦目 更なる高みへサトノティターン

 今年もまた傾向通りの波乱決着となったわけだが、これはハンデ戦であるためだけではなく、冬場に好走を続けてきた馬が疲れを見せる時期であるためと言えなくもない。フレッシュな状態の馬が大穴を演出した事実は、来年のこのレースの検討の際にも頭の隅にとどめておきたい。

 サトノティターンは、前半1000m62秒5のゆったりとした流れを考えても、けっして展開が向いたわけではなかったが、これまでとは違う脚をジックリと溜める競馬で大外から突き抜けて見せた。6歳にしてのこの変り身には驚かされたが、3歳夏の遅いデビュー戦と、そこから1年近くもの休養を挟んで連勝を飾った素質馬であり、今回でまだ9戦のキャリアを考えれば、軌道に乗った今なら更に上を目指せる馬であろう。

サトノティターン

8番人気サトノティターンが大外から差し切りV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ロンドンタウンは、好位の外目で流れに乗り、直線でも渋太く伸びて前を捉えたところで勝ち馬の強襲に遭った形。国内に限れば2年前のエルムS勝ちを最後に馬券対象になっていなかった馬だが、プラス18キロの馬体重ほど太くは見せず、トップハンデでも地力を十分に示したと言える。

 3着リーゼントロックは、楽なペースで先行できたこともあったが、ズブさを見せた勝負どころから気合を付けられると、ゴール寸前まで渋太く粘ってみせた。手応え以上に脚を使うことを熟知した鞍上の好騎乗と言えただろう。

 4着ヒラボクラターシュは、直線を向いたところでは2・3着馬よりも手応えを残していたように見えたが、追われてジリジリとしか脚を使えなかった。同じ舞台で快勝した昨秋のラジオ日本賞の走りと比べても物足りなく映ったのは、斤量の問題だけでなく当時のデキになかったのかもしれない。

 5着サンマルデュークは、軽ハンデを生かしたとはいえ、こちらも最後に馬券対象になったのは3年前の夏という馬であり、しかも10歳にしてアワヤのシーンを作るとは。ただただ驚くしかない。

 ロードゴラッソは、道中は中団の内目をロスなく運び、直線でも馬群に入れる形。突き抜けそうな手応えはあったが、馬群を縫いながら追われる形で脚を余してしまったか。テーオーエナジーは、好位のインからほとんど持ったままで直線を向いたが、意外なほど伸びなかったもの。終始囲まれるポジションで自分のリズムで走れていなかったとも言えるが、体調自体もピークを過ぎていた可能性がある。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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