武豊の菊5勝目は「手綱捌きひとつで…」 ヴェロックス陣営は距離に言及

優馬TM座談会
菊花賞

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今年のメンバーなら 上がり馬にもチャンスあり

小桧山「皐月賞→ダービーの王道路線組で、ヴェロックスには一目置くとしても、それ以外の面々を考えれば、今年はクラシック不出走組にもチャンスがあると思うんだ。中でもヒシゲッコウは、唯一3着に敗れたプリンシパルSがキャリア2戦目での久々で勝ち馬を上回る内容。その勝ち馬がセントライト記念で3着なら、力はここでもヒケを取らない計算だよ。夏のレース内容から、3000mでも面白そうだし、雨で渋った馬場も洋芝での勝利があれば追い風となりそう。あとは名手スミヨンが何とかしてくれると思うぞ」

中邑ヒシゲッコウの前走は、大外を回って楽に抜け出し、ゴール前は手綱を抑える余裕の勝利。一気の距離延長に難なく対応し、追えば追うほど伸びるタイプでもあるので、更なる距離延長も間違いなくプラスでしょう。今年のメンバーなら、僕も勝負になると思っています」

市場ヒシゲッコウは、いまだ映像でしかみたことがない関東馬ですが、初戦の時から底知れぬポテンシャルを感じてました。春の実績馬たちの壁が高いことも確かですが、ここは自分の直感を信じてみたいですね」

デスク「ただ、ヒシゲッコウは、併せ馬の予定だった最終追いで、相手に追い付けずに単走になってしまったようだが…」

小島「さすがに周囲から“動きが悪いんじゃない?”との声も上がってましたが、“デビュー前から調教はあまり動かないタイプ。のんびりしているところがあるから、逆に距離がもつのかな”と、陣営は全く意に介してませんでしたし、前走あたりと変わらないデキで出走できそうです。夏以降は菊花賞を意識したローテーションを組み、馬もそれに応えて勝ち星を重ねてきましたからね。勝負になって不思議はないですよ」

ヒシゲッコウ

追い切りは動きがイマイチだったヒシゲッコウだが…(撮影:日刊ゲンダイ)

瀬古「僕はホウオウサーベルを。春の2冠馬に加えて両トライアルの勝ち馬が不在なら、別路線組の台頭があっていいですよね。折り合いの心配がなく、いい脚を長く使うそのレースぶりからこの舞台はピッタリときます」

守屋ホウオウサーベルの前走は、余力十分に直線に向くと、残り400メートル地点から一気の加速で他馬を置き去りにして後続を5馬身チギり捨てたもの。2勝クラスとはいえ、あの勝ちっぷりなら、という気もします。“ここにきて肉体的にも精神的にも成長してきた。スタミナの化け物みたいな馬で、延びれば延びるほどいいと思っている。他馬が苦しむようならこっちの出番”と、奥村武師も色気十分でしたし、蛯名騎手も能力を高く買っていて、調教も熱心につけています。昨年、今年と調教師試験を受けていて、ここ2年は騎乗馬の量を減らしている中で、最後のひと花を咲かせるチャンスかもしれません」

デスク「あと、トライアル組ではセントライト記念で権利を取った2・3着馬が意外と低評価だが」

那谷サトノルークスは、セントライト記念の時に、この場で“上位は厳しい”という痛恨のジャッジをしてしまったけど、今秋の中山では前々で運んだ馬や内を回った馬が上位を占める決着が多かったし、言い訳めいて聞こえるかもしれないけど、馬場のバイアスに助けられた面があったのは確かだよな」

吉田「ただ、前走は、川田騎手が権利取りを意識してか仕掛けをギリギリまで我慢してましたが、それで直線で窮屈になったとはいえ、狭いところを割って伸びる競馬ができたことは大きな収穫やったと思います。紛れのない京都外回りなら、おそらく今回の福永騎手も我慢させて直線で一気にギアを上げる競馬をするはずで、勝負になっていいのではないかと」

那谷「陣営も、春のクラシックでの大敗もあったから強気にはなれなかったと思うけど、池江寿師は“春はこんなものかと思ったけど、改めて能力の高さを認識した”と、見直した様子だったし、テン乗りとなる福永騎手も“乗りやすくて動きも良かった。兄や姉にも乗っているけど、ムーヴザワールド(2400mで2勝)に似ている”と言っていたんだ。この血統に言えるのは、母系が欧州の重厚な血筋でキレ味勝負より渋った馬場で持ち味が生きるということ。当日の馬場状態を見て評価を上げるのはアリかと思うぞ」

久光「今年の神戸新聞杯とセントライト記念は対象的なレースの中身で、少頭数で究極の上がり勝負だった神戸新聞杯より、終始緩みの無かったセントライト記念の方が、より本番に繋がるスタミナが問われた競馬。そこで春の勢力と互角のレースができたザダルは、そのキャリアを思えばかなり収穫があったように思えます。中間に話が聞けた担当の矢崎厩務員は“ダービーを自重することになったのは残念な気持ちもあったけど、あそこで無理をしなかったお陰で春とは馬が変わった。今の精神面なら馬運車も含め、しっかり輸送もこなしてくれると思うし、あるとすれば上昇のみだよ”と職人の笑顔。15年来の付き合いで彼が腕利きなのは分かっているだけに、言葉の重みも十分伝わってきました。再びの最内枠は前走の経験を活かすには言うことなしですし、初コースも父が大得意とした京都の外回りならば不安よりも期待が高まりますね」

守屋「セントライト記念の3着を恵まれたものと見る向きもあるでしょうが、内ラチ沿いで外からプレッシャーを受けながらでは、見た目以上にタフな競馬だったと思いますし、“窮屈な競馬を強いられた割によく頑張っていた”という大竹師の言葉にも納得ができます。また、スタート後にすぐ3角を迎えるので、“もちろん、内枠が希望”と望んでいた通り、前走同様に最内枠の1枠1番をゲット。シッカリ折り合いがつくので距離は大丈夫そうですし、どこからでも動ける強みがあり器用に立ち回れるので、ロスなく運べるはず。侮れませんよ」

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