蛯名騎手とのコンビが印象深い馬は? 1位は世界と戦った名馬 GI未勝利ステージチャンプもランクイン

TMアンケート

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 2月28日の騎乗を最後に、現役を引退する蛯名正義騎手。1987年のデビュー時からコンスタントに活躍し、1996年に初めてGIを勝ってからは多くの名馬に跨ってきた同騎手だが、競馬専門紙「優馬」と「競友」のTM(トラックマン)、記者らは、どの馬とのコンビが印象に残っているのだろうか。

「蛯名正義騎手とのコンビが印象深い馬といえば?」TM・記者アンケート結果

1位 10票 エルコンドルパサー
2位 5票 マンハッタンカフェ
      アパパネ
4位 3票 ステージチャンプ
5位 2票 フェノーメノ
6位 1票 エアジハード
      マツリダゴッホ
      イスラボニータ

1位 エルコンドルパサー

文:須藤大和TM(優馬)

 デビューから無傷の5連勝でNHKマイルCを制したエルコンドルパサーだが、秋緒戦の毎日王冠では、これまでの主戦・的場均騎手がグラスワンダーを選択。次の候補に挙がった武豊騎手もサイレンススズカに乗ることが決まっていたため、本馬は蛯名騎手と数奇な出会いを果たすことになる。

 コンビとしての初陣はサイレンススズカの2着に敗れたが、続くジャパンCでは、エアグルーヴ、スペシャルウィークといった強豪を封じ優勝した。翌年は、凱旋門賞を大目標にヨーロッパへの長期遠征を敢行。蛯名騎手もレースの度に現地へ赴き、サンクルー大賞で海外GI制覇を成し遂げる。凱旋門賞では、直線でモンジューと熾烈なデッドヒート。惜しくも2着に敗れはしたが、現地メディアに「チャンピオンが2頭いた!」と言わしめる程の強烈なインパクトを残した。

 海外でも4戦して2勝、2着2回とほぼパーフェクトに近い成績。ただ個人的には「もし凱旋門賞で逃げていなかったら、いまだ切り拓かれていない日本競馬の歴史は変わっていたのかな…」と思うほど、惜しいレースだったように感じる。

エルコンドルパサー

ジャパンカップで強豪を退けたエルコンドルパサー(写真:日刊ゲンダイ)

2位タイ マンハッタンカフェ

文:小島康睦TM(優馬)

 マンハッタンカフェは叔父の管理馬だったこともあり、蛯名騎手とのコンビが記憶に残る一頭。20年近く経った今でも、蛯名騎手が口にした数々の言葉が思い出される。

 「良くなるのは3歳秋以降でパンとしてきてから」という言葉通り、北海道シリーズの条件戦を、春とは別馬のような走りで連勝したマンハッタンカフェ。「もっともっと良くなるよ。重賞…いや、GIだって狙えるよ!」と、蛯名騎手は興奮気味に話していた。

 セントライト記念は先約があり乗れなかったが、ダービー馬ジャングルポケットらが揃った菊花賞はかなり色気があったようで「距離は延びれば延びる程良いタイプ。折り合いもつくし、どこからでも競馬が出来る。楽しみだよ!」と戦前に語っていた。結果はご存じの通り、快勝である。

 返す刀で挑戦した有馬記念では「道中の行きっぷりが半端じゃなかった。4コーナー過ぎで勝てると思ったからね」とGIを連勝。年明けの日経賞は雨の影響があった馬場に苦戦し敗れたが、春の天皇賞では「体調と馬場さえ良ければ自信はあった。理想通りの競馬が出来たし強かったね。」とコンビでのGI3勝目をあげた。

 秋は凱旋門賞に挑戦するも、体調が整わず残念な結果に終わったマンハッタンカフェ。「とにかくお父さんのサンデーサイレンスに良く似ていたし、種牡馬としてもあれだけ活躍したのも頷ける。競馬史に残る名馬だったと思うよ」と引退後の本馬を振り返っていたのも印象的だった。

マンハッタンカフェ

3歳秋になって本格化したマンハッタンカフェが有馬記念も快勝(写真:日刊ゲンダイ)

2位タイ アパパネ

文:西田美佐子TM(優馬)

 赤松賞を1分34秒5のレコードで快勝してマイルへの適性を示し、栗東滞在で掴み取った阪神ジュベナイルFと桜花賞。1番人気に推されたとはいえ、血統や体型から初の2400mを不安視する声もある中、長い写真判定の末、同着というドラマチックな展開で勝ち取ったオークス。横綱相撲で牝馬クラシック3冠の偉業を成し遂げた秋華賞。早め抜け出しの形からブエナビスタの猛追を退けたヴィクトリアマイル。

 いずれをも含め、19戦中18戦で蛯名騎手とコンビを組んだアパパネ。真面目で全力で走る本馬を冷静な判断でリードしていき、お互いを高め合う様な形で名勝負を紡ぎ出した良きパートナーだったと思います。

アパパネ

蛯名騎手を背に牝馬三冠を達成したアパパネ

名脇役ステージチャンプを推す声も…

 蛯名騎手がビッグタイトルに導いた馬がランクインする中、GI勝ちのないステージチャンプが4位に入った。票を投じた優馬・那谷TMのコメントをご紹介する。

4位 ステージチャンプ
文:那谷明弘TM(優馬)

 1995年の天皇賞・春、強烈な追い込みでライスシャワーを外から強襲し、蛯名騎手は差し切ったと思いガッツポーズをしてしまったのはあまりにも有名な話ですが、今なお記憶鮮やかです。

 あのガッツポーズは、プロ野球・宇野勝選手のヘディングと並ぶ珍プレーのレガシーだと思います。当時、蛯名騎手はGI未勝利でしたが、後にエルコンドルパサーやマンハッタンカフェ、アパパネなど歴史的名馬とのコンビで数々のGIを制する名騎手になるとは…、当時の私は思っていませんでした。ごめんなさい、蛯名先生。調教師としても、これから数々の名馬を育て上げ、成功することを祈っています。

 

 以上がTM、記者らの投票結果だったが、読者の方が思う“蛯名騎手とのコンビが印象深い馬”は? コメント欄にて、ぜひともその意見を教えていただきたい。

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