牡馬を底力でねじ伏せたルージュバック 是非とも天皇賞へ

佐藤直文 レース回顧
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牡馬相手に完全覚醒ルージュバック 悲願のタイトルへ次はどっちだ?

 前半3ハロンが35秒8、4ハロンも48秒3という、予想された通りのスローペース。それでいて、道中は後方に位置していた4頭が、掲示板の上位4頭を占めるという、まるでハイペースの前崩れのような結果は、東京コースでは珍しいことではない。土曜のサウジアラビアロイヤルカップと同じように、典型的な“少し渋った馬場でのスローの瞬発力勝負”となった。

 ルージュバックは、この流れを後方でジックリと運んだが、目標となる馬をゴール前で差す、というイメージではなく、直線で一気に抜け出して押し切るという戦法だった。鞍上が力を信じての乗り方だったように思えるが、実際に2着馬の抵抗に遭いながらもクビ差凌ぎ切ったあたり、底力でねじ伏せた印象を受けた。これで重賞3勝がいずれも1800m戦で、この距離がベストとは言うものの、東京なら2000mも守備範囲だろう。京都2200mよりも明らかに適性が上のはずであり、是非とも女王杯ではなく天皇賞へ行って欲しい。

ルージュバック

抵抗するアンビシャス(緑帽)をねじ伏せたルージュバック(橙帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アンビシャスは、ここ2走は前で運んだが、やはり今回のようなジックリと脚を溜める競馬がベストだろう。勝ち馬には目標とされた分の負けと見ることができるし、後続への3馬身差は決定的だ。少し余裕を持たせた仕上げだったということを考えても、本番へ理想的なステップを踏めたと言える。

 3着ヒストリカルは、前半はポツンと離れたシンガリから終い勝負に賭けた形。横山典騎手らしい決め撃ちがハマったと言えるが、今日のようなスローの瞬発力勝負が合っている馬でもある。

 4着ロンギングダンサーも、同様に直線勝負で持ち味を出し切ったもの。前走の好走がフロックではないことを示しており、GIIIレベルならまだまだチャンスがある馬だ。

 5着ステファノスは、直線で前が詰まるシーンがあったものの、それ以前に馬群を割ろうとした時の反応が一息だった。ただ、昨年も使い出しのこのレースで7着と敗れたように、本来が叩き良化型なのだろう。それでもゴール前では鋭い脚を見せており、この一叩きで確実に変わってくる本番は、巻き返し可能だろう。

 ディサイファは、今日のような瞬発力勝負では分が悪かった。過去に実績があるとはいえ、1800mの距離も短いと言えるか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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