人気馬ドン詰まりも“これが競馬” 条件揃ったサトノアラジンがV

佐藤直文 レース回顧
安田記念

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魔法の力にあらず 実力で願いを叶えたサトノアラジン

 大方の予想通り、ロゴタイプがハナに立ち、昨年の逃げ切りも思わせる展開となったが、前半3ハロンは昨年の35秒0に対して今回は33秒9、1000m通過に至っては、昨年の59秒1を2秒も上回る57秒1のハイラップであった。見た目には昨年と同じでも、中身は全く異質の競馬だったと言える。

 その昨年はスローペースに泣いたサトノアラジンだったが、今年は一転して理想的な流れ。加えてパンパンの良馬場、外が伸びる馬場では理想的な枠順、そして迷いのない鞍上の戦法と、あらゆる条件が揃っていたと言えるが、実はラジオの解説席からの返し馬診断で、最も良く見えて真っ先に取り上げたのがこの馬。紙上では無印にしてしまったものの、デキに関しても文句なしの状態だった。6歳にしての初タイトルとなったわけだが、ようやくしっかりとした走りができるようになった印象も受けるだけに、まだまだタイトルの上積みも可能だろう。

サトノアラジン

外目を豪快に伸びたサトノアラジン(橙帽)が初GI制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ロゴタイプは、前述したように“恵まれた”昨年とは全く違う逃げで、直線では一旦後続を突き放す競馬。これまた外枠から気分良くハナへ行けたことと、鞍上が状態面に自信を持っていたからこそできた正攻法が功を奏したと言えるが、昨年の勝利がけっして恵まれただけではないことを、存分に示した形だ。

 3着レッドファルクスは、速い流れとなったことで後方のインで巧く折り合えていたが、直線を向いて前がズラリと壁になり、大外まで持ち出すロスが痛かった。距離はマイルがギリギリと思える馬だが、今日のメンバーでロスがありながらここまで走ったのは立派だった。

 4着グレーターロンドンは、スタートでの出遅れ自体は結果的に脚が溜まって良かったと思えたが、馬群の中で競馬ができたという点でも今後に繋がる内容だった。中間に順調さを欠きながらこれだけ走れたのだから、秋は相当楽しみである。

 5着エアスピネルは、後方からハマっておかしくない流れだったが、これまた直線で前が壁になって追い出しを待たされたのが痛かった。ただ、3歳時同様、GIの舞台ではもうワンパンチ必要なのかもしれない。

 ◎に推したビューティーオンリーは、直線で一瞬は来たか、と思わせるレースぶりだったが、結果的にはもっと後ろで脚を溜めていた馬の競馬になってしまったか。同じことが大外枠から序盤に出していったステファノスにも言えるだろう。ともに上位とは着順ほどの力差はなかったと見ていい。イスラボニータは、中団の前目という道中のポジション自体、今日の流れでは最も厳しかったと言えるが、直線でも前にも外にも進路がなくなり身動きができなかった。この東京でGI4連勝中だったルメール騎手をもってしても、こういう形になってしまったわけだが、“これが競馬”でもある。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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