秋は大きな舞台で 巧く立ち回ったゼーヴィントが休み明け&斤量克服

佐藤直文 レース回顧
七夕賞

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2着続きにピリオド ゼーヴィント

 前半1000mが58秒0と、ある程度は予想された速い流れとなったが、縦長の展開となっただけに4コーナーで後方の位置では届かない競馬となった。道中はジックリ運んでも、前を見る位置で4コーナーでは射程圏に、というのが理想的な形だったように思える。

 その理想的な形で運んだのがゼーヴィントであったが、パドックでもチャカチャカしていたように、5ヶ月半ぶりの久々の影響は少なからずあった。加えて初めて背負う57キロのハンデと速い流れもあって、道中の追走や勝負どころの反応もいつもほどの余裕がなかったが、それでも戸崎圭騎手に“ここで動かなければ前を捕らえることができない”という判断での仕掛けに見えた。もちろん、それに応えるだけの馬の地力を信じた騎乗にも思えたが、能力上位の馬にこれだけ巧く立ち回られては他馬はどうしようもない。本来はもっと上手な競馬ができる馬であり、このあと順調に秋を迎えることができれば、さらに大きな舞台での活躍が期待できよう。

ゼーヴィント

約5ヶ月半ぶりのレースだったゼーヴィントが重賞2勝目のゴール(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マイネルフロストは、逃げたマルターズアポジーを目標に、勝ち馬よりも先に動いて4コーナーを先頭で回る形。直線でも一旦はセーフティリードかと思えたほどだが、これで負けたのなら仕方がなく、これまた絶妙の仕掛けで持ち味は生かし切ったと言える。

 3着ソールインパクトは、3コーナー手前から勝ち馬の仕掛けに付いて行く形となったが、手応えの割に最後まで渋太く伸びていた。格上挑戦での速い流れにも対応して、巧く脚を使うことができたという点では、大きな収穫があったと言える。

 4着スズカデヴィアスは、道中は離れたシンガリをポツンと進み、ハイペースを見越した鞍上の決め撃ちに思えたが、それにしても離され過ぎだったか。外を回って長くいい脚を使い、力自体は示した一戦だ。

 5着フェルメッツァは、勝ち馬の仕掛けに内から馬体を併せる形で動いて行ったが、そのまま好位から流れ込んだだけ。ただ、ロスのない運びでコース適性は示したと言える。

 ◎に推したタツゴウゲキは、勝負どころで前が詰まって大きくポジションを下げた上に、直線でも同様に大きく外へ進路を切り替えるロス。スムーズであったなら3着はあったと思えるもったいない競馬だった。ヴォージュは、道中3番手から自分の競馬ができていたが、ハイペースとはいえちょっと止まり過ぎ。見た目のデキは悪く映らなかったが、昨年もこの時期に凡走しており、夏場が良くないのか。マルターズアポジーは、テンに競られた上に、2着馬に早目に来られるキツい形。しかも57.5キロのトップハンデを背負っていたことを考えれば、仕方のない失速だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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