春以来レッドファルクス連覇への死角は？ 秋ＧI開幕戦のＴＭ座談会

連覇か春秋制覇かそれとも復活か　ＧIスプリンターの競演

デスク「今年は現役のスプリントＧIホースが勢揃いしているけど、中でも人気の中心は昨年の覇者レッドファルクスという様相だな」

武井「レッドファルクスは、今年緒戦の高松宮記念こそ３着と敗れましたが、初の海外遠征からの調整だったことと、得意とは言えない雨馬場だったことを考えれば悲観すべき内容ではありません。続く京王杯スプリングＣでは５８キロと道悪を克服しての完勝でしたし、安田記念でも一転しての高速決着で、しかもそれまでに実績のなかった距離で僅差の３着は、充実ぶりを示すものでしょう。昨年よりスケールアップしての臨戦なら、連覇の可能性は高いと見ていいはずです」

デスク「ただ、昨年も３ヶ月ぶりだったとはいえ、今年は春以来のぶっつけとなるけど」

守屋「以前は左トモに不安があったため左回りを中心に使われていたとのことですが、昨年のこのレースを勝ったのは元より、この中間の右回りのウッドチップコースからはトモの不安などはまるで感じさせない動きです。最終追いでも馬なりで僚馬をぶっち切って、仕上りも抜かりないように見えますね。古くはサクラバクシンオーから、ビリーヴ、カレンチャン、ロードカナロア、ストレイトガールなど２年連続で好走する、いわゆるリピーターが多いレースですし、今年もまたレッドファルクスの出番でしょう」

坂倉「前走の安田記念にしても、直線を向いたところで前が壁になるロスがなかったら勝っていたかも、と思えるほどのパフォーマンスでしたからね。微妙に適性外のマイル戦で、その距離のスペシャリストを相手にコンマ１秒差なら、高く評価できますよ。この夏の調整も、陣営によると“放牧先で結構速いところをやっていたようで仕上げやすかった”とのことですし、もともと久々がマイナスになるタイプではありません。昨年と比べても相手が強力になったという印象を受けないので、もっと楽に勝てるかもしれませんね」

最終追いでは僚馬をぶっち切ったレッドファルクス(右)（撮影：日刊ゲンダイ）

佐藤直「ただ、その昨年は１１着までがコンマ３秒差にひしめく接戦で、ある意味“ゆるい”レース。勝ったレッドファルクスはともかくとしても、低レベルだったと言えるんだよな。だったら、その一戦よりも春の高松宮記念を評価すべきだと思うし、今年に入ってメキメキと力を付けてきたセイウンコウセイを上位と見るべきじゃないか？」

瀬古「中山芝がＣコースに替わった先週は、内を通った馬の活躍が目立ってましたよね。セイウンコウセイの３番枠は、まさに絶好枠と言えそうですし、春秋スプリントＧI制覇の可能性も高まったと思います」

デスク「ただ、これまた引っ掛かるのが、断然人気を背負っていた前走の函館スプリントＳでの敗戦だけど」

大江原「前走は、逃げ先行勢にはキツい流れだったし、例年にない異常な函館の馬場状態も微妙に影響したと思うぞ。その後は無理使いをせずに、ここに備えたローテーションにも好感が持てるし、状態も高松宮記念当時に戻っているんじゃないかな」

板子「少なくとも函館の頃よりも格段に状態は上ですが、陣営は“恥ずかしくない状態で出走できるが、高松宮記念の頃と比べると今一歩届かない”とのことです。ただ、春先よりもパワーアップしているのは事実で、陣営の求めるレベルが高くなっているために評価もシビアになっているんだと思います。その前走にしても、先行勢壊滅の流れで掲示板を確保したこと自体、むしろ評価できるはずですよ」

デスク「あとはビッグアーサーの復活があるかどうかだ。長期の休養明けが嫌われたのか誰も◎を打っていないんだけど、不利もあって力を出し切れなかった昨年は断然の１番人気に推された馬だからな」

田崎「休み明け自体は予定通りなら問題ないかと思えるんですが、順調さを欠いてのぶっつけ本番となっては、実力馬でもさすがに厳しいでしょうね」

広田「春も予定していた高松宮記念を筋挫傷で回避したものですし、今回も前哨戦のセントウルＳを爪の不安で使えませんでしたからね。実績が示す通り、けっして久々を苦にするタイプではないんですが、中間の動きなどもＧIで勝ち負けできるかとなると疑問符が付くレベルです。地力は最上位であっても、今回はあくまで押さえ程度の評価が妥当かと思いますよ」