大接戦のゴール前で見せた勝負強さ 出世できるかニシノデイジー

佐藤直文 レース回顧
東京スポーツ杯2歳S

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輸送競馬も克服し重賞連勝 ニシノデイジー

 ダービー馬に輝いた昨年のワグネリアンを筆頭に、過去10年の勝ち馬のうち7頭までが後にGIウィナーとなっている、ハイレベルな出世レースだ。ただ、前半3ハロンが36秒2というスローな流れで、巧く立ち回った馬が上位を占めた今年は、人気を集めた素質馬たちも、もしかすると例年ほどのレベルではないのかもしれない。

 ニシノデイジーは、緩い流れで道中は行きたがる面を見せていたが、枠なりにインのポケットに収まったことにより、なんとか宥めて運ぶことができていた。そのまま直線を向いた時点では、少し前が詰まり気味であったが、結果的にはそこで脚が溜まったのが良かったか。馬群を割ってグイっと伸びて、前走の札幌2歳Sに続いて勝負強さを発揮した形だ。これで将来も約束された、というほどの勝ちっぷりではないにしろ、初めての輸送競馬も克服したあたり、完成度の高さで2歳重賞を連勝した馬には留まらない活躍も期待できよう。

ニシノデイジー

ゴール前の激戦を制したのは札幌2歳チャンプのニシノデイジー(白帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着アガラスは、道中は位置取りとしては勝ち馬よりも後ろであったが、ロスのない立ち回りで、同様に直線でも追い出しを待たされるシーンがあって脚が溜まっていた。惜しいハナ差負けではあったが、過去2戦とは全く違う競馬ができたことは、今後に繋がるだろう。

 3着ヴァンドギャルドは、4コーナーで勝ち馬とちょうど横並びの位置で、これまた直線を向いて前が壁になったが、そこから外へ進路を替えて追い出された形。結果的にはそこで脚を溜めていた上位2頭に競り負けたが、良馬場の高速決着にも対応できたという点でも、今後が楽しみとなる内容だった。

 4着ヴェロックスは、直線で馬群から伸びてきた時は、このまま一気に前を交わすかの勢いだったが、最後の最後で鈍ったあたりは、前走後に一息入っていた影響もあったろうか。

 5着ダノンラスターは、稽古でもそういう面を見せていたのだが、まだ馬が走る気持ちに向いていない印象を受けた。内にササり気味ながら伸びたラストの脚などは、ポテンシャルの高さを感じさせるものではあったが、気性面での成長が待たれるところだ。

 ルヴォルグは、出遅れが響いたとはいえ、それが全てだったとは言い切れない負け方だった。新馬を勝っての中2週で、調整の難しさもあったかとは思えるが、“クラシック候補”と呼ばれるには、それらを跳ね返して大外一気を決めてこそ。これまた素質は一級品だけに、立て直されての再浮上に期待したい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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