馬に非はなし ミッキーアイルが25年ぶりマイルCS逃げ切りV

佐藤直文 レース回顧
マイルCS

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後味悪いが馬に非はなし マイルで復活ミッキーアイル

 同型不在でミッキーアイルの単騎逃げ、というのは大方の予想通りの展開であったが、半マイル通過46秒1、1000m通過が57秒5というのは平均より少し早目のペース。このあたりは、2番手で運んだネオリアリズムのムーア騎手が息を入れさせなかったためと言っていいが、結果的にスローの瞬発力勝負ではなく、後続にも脚を使わせる形となった感を受けた。1分33秒1の決着タイムも、近年の良馬場としては遅い部類だが、前日の雨の影響が残った馬場を考えれば、けっして悪いものではないだろう。

 ミッキーアイルは、タイトなペースでの逃げとなり、ラスト1ハロンこそ12秒台のラップとなったが、能力をフルに発揮できたと言える。ゴール前の斜行で後味の悪い決着となったとはいえ、馬に非はなく、何より逃げ切り勝ちは25年ぶりという事実が示す通りの舞台で、久々のマイル戦でも適性を見せての強い内容であった。しばらく遠回りしたが、2年半ぶりのGI制覇を素直に褒め称えたい。

ミッキーアイル

審議となったが入線順位どおりミッキーアイル(奥桃帽)が優勝したマイルCS(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着イスラボニータは、スタートを決めて中団で流れに乗り、直線では馬場の中ほどを真っ直ぐに伸びたもの。実にスムーズな競馬ができて、自身は不利も受けていないだけに、これで届かなかったのは仕方がない。惜しむらくはパンパンの良馬場であれば、と言ったところだが、マイル路線の選択は正解と思えるし、まだまだチャンスはあるはずだ。

 3着ネオリアリズムは、勝ち馬を追いかけて最後の最後まで抵抗したことは、素質自体の高さと鞍上の腕の成せる業だったように感じた。最後に不利を受けてからも諦めずに追っていたあたりもさすがと思えたし、自身初のマイル戦でこれだけの走りができたことで、今後の選択肢も広がったと言えよう。

 4着ダノンシャークは、自分の競馬に徹して、直線でも馬群を巧く捌いてアワヤのシーンを演出した。2年前の覇者がコース巧者ぶりを示したと言えるが、8歳という年齢を考えても頭の下がる走りであった。

 5着サトノアラジンは、ゴール前での不利が全てだったと言えるが、後方で脚を溜めて直線でドーンという形ではなく、器用さも見せることができたという点で、今後に繋がる競馬はできたと思う。

 フィエロは、中団で流れに乗って4コーナーでは2着馬の直後の位置。理想的な競馬ができたはずだが、そこから伸び切れなかったあたりは年齢的な衰えだろうか。ロードクエストは、最後方から直線でインを狙ったがジリジリとしか伸びなかったもの。経験値が要求される舞台でのキャリア不足とも言えるが、まだこれからの馬だろう。ヤングマンパワーは、本来の先行力を見せることなく、ほとんど競馬にならず。ここまで大きく負ける馬ではないと思うが、少し人気になり過ぎていたか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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