モズ＆ペルシアンを差し置いて　東西本紙◎が一致した「止まらん」馬

前哨戦でキラリと光った馬たちも　注目すべきはコレだ

伊利「ロジクライの勝った富士Ｓは、昨年のマイルＣＳの１・２着馬を撃破したという点でも価値がありますが、前半４５秒９、後半４５秒８での１分３１秒７は、４５秒５、４５秒８での１分３１秒３だった春の安田記念と比較しても遜色のない数字です。本を正せば３歳春のシンザン記念で、後の桜花賞馬ジュエラーを負かした素質馬ですし、勢いに乗って一気に頂点へ立てるだけの馬ですよ」

吉田「ロジクライの近走を見ると、マイラーズＣや京王杯のように被せられる展開になるとモロさが出る一方で、２着と好走した中京記念もそうでしたが、ノビノビ走れる位置取りなら、ペースやコースロスが影響することも少ないんです。なので、前で運んで、馬群が固まってヨーイドンの流れにさえならなければ、崩れることもないと思いますわ」

那谷「実際に、１３戦のキャリアで上がり最速をマークしたのは未勝利勝ちの１戦のみという馬だけど、それでもこの舞台に立てているのは、レースセンスが良くて立ち回りが巧いからこそだよな。２週連続で追い切りに跨いだクリスチャンも“凄く乗り味がいい。前に馬を置いて追走して、残り２ハロンで捕まえて突き放すレースを”と、非常にいいイメージを持っていたし、前走のようなレースができれば、このメンバーでも完封しておかしくはないよ」

前哨戦・富士Ｓの勝ち馬ロジクライ（撮影：日刊ゲンダイ）

持木「富士Ｓでは３着止まりだったレッドアヴァンセも、悲観すべき内容ではなかったと思います。何より牡馬相手でも通用する力は示しましたし、リフレッシュ効果で馬体を戻していたことにも好感が持てました。兄弟たちもそうですが、自身も京都のマイルはピッタリの感も受けるので、一発ならコレと見てますよ」

瀬古「３着だった春のヴィクトリアマイルにしても、早目に先頭に立った分、２頭に交わされた形で仕掛けのタイミング次第では…と思える惜しい内容でしたね。その２走前と“同じか、それ以上の状態にある”と、音無師が言うのなら、十分に圏内の一頭と見ていいでしょう」

守屋「脚部不安による長期の休養があって出世こそ遅れたミッキーグローリーですが、“前走の反動もないし、ちゃんと使い続けることができるようになったのが何よりだね。軌道に乗ってきた感じだよ”と、国枝師は調整と具合に満足気でしたし、“前走や４走前のようにシッカリ脚をためるほうが絶対にいい。そういう意味で京都の外回りも合うと思うし、輸送を苦にしないので初の関西圏での出走も大丈夫。楽しみにしている”とのこと。重賞初挑戦での勝利から、当然ＧIも初挑戦となりますが、一気に頂点に登り詰めて不思議はないですね」

瀬古「ケイアイノーテックは、直線の追い比べで伸び負けた前走が少々物足りなくも映りましたが、同じ３歳のステルヴィオより１キロ重い斤量を背負い、初の１８００ｍだったことを考えれば及第点はつけられます。使う毎にパフォーマンスを上げていった春の戦績からも叩いて良くなるタイプですし、加えて“長距離輸送をすると２０キロ近く体重が減る馬。近場の京都なら仕上げやすい”とは担当の佐々木助手。ベストのマイルに戻って逆転の目はあるでしょう」

那谷「ジュールポレールも、先週のエリザベス女王杯を勝ったリスグラシュー以下を春のヴィクトリアマイルで降しているわけだし、前走の府中牝馬Ｓの走破タイムも毎日王冠組と比べて遜色はないよ。その前走に関しては“逃げ馬を捕まえに行ってワンテンポ早く仕掛けた分、最後に脚が上がった”と陣営も分析していたけど、超のつく高速決着よりも少し時計がかかる方がいいので、この馬も今の京都は合うと思うんだ。惜しむらくは、ずっと手綱を取ってきた幸騎手の怪我による乗り替わりで、それがなければもう一つ二つ印も上がったんだけど…」

細川「早目の栗東入厩で結果を出した前走後も残って調整を続けているロードクエストですが、その効果でいい意味で体調もキープできているようですね。タメて運べば前走のような脚がまだ使えることはハッキリしましたし、思い切った騎乗ができる横山典騎手なら是非ともマークすべきですよ」

デスク「あと、昨年の２着馬で、富士Ｓも人気を裏切ったとはいえ、前哨戦としては悪くない内容だったエアスピネルの名前が挙がらないんだが、中間に順調さを欠いた影響なのか？」

菅「先週の火曜日に微熱が出て、１週前追い切りを取りやめた形ですが、笹田師は“最終追いも併せてシッカリやることができたように、その影響はない”とのことでした。富士Ｓを勝って臨んだ昨年ほどの勢いはないにしろ、実績を軽くは扱えませんよね」